釧路菓子商組合

記事一覧

  「特別でなくていい、お茶の間に何気なくぽんと置いてあるような、暮らしの傍らにそっと寄り添うお菓子を作っていきたい。」そう語るのは、釧路市春採に店を構えて35年、菓子処くら重の二代目、蔵重卓也氏だ。
  
菓子処くら重は、昭和56年、父である秀夫氏が創業。和菓子店としてのスタートだった。当時卓也氏は高校在学中であったが、店の忙しいときには、接客や包装などを進んで手伝った。手伝う中で、「いずれこの店を継ぐんだ」という気持ちが芽生え、高校卒業後は父のもとで本格的に製造の修行を始めた。現在は父・秀夫氏が串団子や最中などの和菓子を、卓也氏がケーキやワッフルなどの洋菓子を作り、卓也氏の妻が接客を担当している。
 

 

35年の歴史の中で、伝統的な味を頑なに守り続けているのかと思いきや、少し違うようだ。「ニーズや時代の流行も積極的に取り入れて、メニューもレシピも少しずつ変えている」と話す。「ずっと変わらぬ味も大切だけれど、お客様の意見も取り入れ、”地域の味”を作っていきたい。」。ケーキにイチゴはサンドしないでほしい、などの細かな要望にも応える。  人気は、銘菓『くら最中』と『ワッフル』。




『くら最中』は創業からの人気商品で、同店の顔とも呼べる商品。こだわりのあんが皮の中にぎっしりと詰まっており、そのあんの中にこっそりと隠れている求肥もちが、なんともありがたい気持ちにさせてくれる。
『ワッフル』の始まりは17年前。旧丸井今井釧路店で開催された、くしろ菓子まつりでの実演販売がきっかけだった。サンドするクリームの種類を徐々に増やし、現在は4種類を販売中だ。
 





 「うちの商品はどれも気取ったものではなく、気軽に食べていただけるものばかり。それを目指してきた。もちろんお祝い事やおつかいものにも使っていただけるが、普段使いで、肩肘張らずに食べてもらえると一番嬉しい。

小回りの利いた仕事で、今後も地域に根ざしたお菓子をつくっていきたい。」そう話す最中も、ひっきりなしに常連さんが顔を出す。