高校卒業後、東京の菓子店へ就職。見習いとして従事するも、幼少からの経験がある氏は難なくこなし、やがては1日分の作業を半日で終わらせてしまうまでになります。
氏はこのことを「早く終わらせればそのぶん先輩の手伝いをさせられるからね。自分が知りたい技を盗むチャンスはその時にしかない」のだと。そして、残りの時間はベテラン職人を手伝い、教わることなく熟練の技術を確実に自分のものにしてきました。
そんな凝縮した日々を2年以上続け、ついには体調を崩してしまします。
1年以上もの休養後、釧路に戻り実家である現在の場所で、自分のお菓子作りをはじめます。
以来、釧路の地でお菓子を作り続けています。
毎日自ら手入れしている工場は清潔そのもので、社会見学も受け入れていている。
氏は「教わられ習わなかったことが、自分にとってプラスだった」と当時を振り返ります。
見たり聞いたりするのではなく、実際に体験しなければわからないといいます。このことを伝えるため、お菓子作りの傍ら、お菓子作りの楽しさを感じてもらうよう20年以上ライフワークとして出前教室の講師を務めています。
幼稚園や小学校、中学校へ自ら出向き子供たちと一緒にケーキを作っていたものが、最近ではお菓子作りの枠を超え、社会福祉施設や一般企業の料理教室の講師として活躍するほど、活動範囲を広げています。
また、氏には「秘伝の〜」というものはなく、同業者であってもレシピは惜しげもなく教えてしまうのだそう。 その理由を聞くと「誰かに教えた分、自分が進化すればいい。ただそれだけのこと。」